冬から春に季節が移行する時期に初めて吹く暖かい南よりの強い風、春一番。寒い冬が明け、希望いっぱいの春のおとずれを知らせてくれる風物詩です。
今年は3月3日(月)午前10時半頃、九州南部と奄美地方で初の「春一番」が吹いたと鹿児島地方気象台から発表がありました。最大風速12.8mを観測したそうです。
関東ではいつになるのか今からワクワクしますね。
すっかり気候もあたたかくなり、新たな季節の幕開けに心を躍らせている方も多いのではないでしょうか。
そんな方はぜひ「鮨やまけん」へ。お寿司は、その時々の旬の魚を味わうことが最大の醍醐味です。
今日は、春の訪れとともに楽しめる季節の魚について、少しお話しさせていただきます。
旬の味覚 〜春の訪れとともに〜
春は海の中でも新しい命が芽吹く季節。冬の厳しい寒さを乗り越え、身が締まりながらも脂が適度にのった魚たちが市場に出回ります。
【 桜鯛(マダイ)】
マダイは、その味わいと見た目から、まさに「お寿司の王様」として扱うにふさわしい魚です。とくに春の時期に獲れるマダイは一般的なマダイに比べて鮮やかなピンク色をしており、この色合いが桜の花を連想させるため「桜鯛」とい呼ばれています。春はマダイの産卵時期でもあり、栄養を蓄えて一番美味しい時期になります。
旨味が増しているこの時期の鯛は、シンプルに塩で締める「昆布締め」がおすすめ。魚本来の甘みや旨味が存分に楽しめます。また軽く炙ると香ばしさが加わり、マダイの脂が溶け出しより深みのある味わいになります。
【 サヨリ】
「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれるサヨリ。おさかな天国の出だしで有名ですが、パッとイメージできる方は意外と少ないのではないでしょうか。サヨリは非常に細長い体を持ち、優雅な泳ぎ姿が特徴的ですが、見た目に反して非常に繊細な味わいを持っています。春から初夏にかけて旬とされていますが、春に水揚げされるサヨリはとくに脂がのり、甘みと旨味が強くなります。握りでは、サヨリの食感や味わいが存分に引き出されるよう薄くスライスすることが大切。そこにほんのり塩をあてることでさらに甘みが引き立ちます。
【ホタルイカ】
春の夜の海を彩るホタルイカ。富山湾のホタルイカ漁は全国的にも有名ですが、生で食べるとその濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。そのままでも美味しいですが、少し酢で締めることでその甘みがさらに引き立ちます。寿司では、酢味噌やポン酢と合わせた軍艦巻きにすると格別です。
【 メバル】
春の海で脂がのり、身が柔らかくなるメバル。赤身の美しい魚で、身が引き締まっていてしっかりとした食感と上品な甘さから煮付けとの相性が良く有名ですが、寿司にすると淡泊ながらも深い味わいを楽しめます。特に春のメバルは脂が乗り、旨味が強くなるため、その食感と味わいは絶品です。軽く塩を振って締めると、旨味が凝縮され、口の中でじんわり広がります。メバルはあまり濃い味付けを好まないため、醤油をつける量はごくわずかで大丈夫です。魚の甘みと香りがしっかりと感じられ、バランスが取れた一貫が完成します。
職人のこだわり
春のお寿司は、その色合いでも楽しませてくれます。桜鯛の淡いピンク色、サヨリの透明感のある白、ホタルイカの黒と白が織りなすコントラスト…。これらの色は、春らしい明るさと軽やかさを感じさせ、食べる前から心が躍ります。魚は、同じ種類でも個体差があるもの。熟成が必要なのか、塩加減や温度はどうか、すべてを見極めるのが職人の仕事です。寿司は、単なる「食べ物」ではなく、職人の技と魚の生命が織りなす芸術のようなものだと思います。
ぜひ、春の味覚を楽しみに、当店へ足を運んでいただければ幸いです。